今回は、神戸大学理系数学(2022年後期 第1問)の解説をしたいと思います。
問題
$a$ を正の実数,$f(x)=\dfrac{1}{2}x^2-a$ とする.$t$ を実数とするとき,点 $\mathrm{P}(t,f(t))$ における放物線 $y=f(x)$ の接線と原点の距離を $g(t)$ とする.$g(t)$ の最小値とそのときの $t$ の値を $a$ を用いて表せ.
(神戸大学)
解答
$f'(x)=x$ より、点 $\mathrm{P}$ における放物線 $y=f(x)$ の接線の方程式は
$$\begin{array}{c}
y=t(x-t)+\dfrac{1}{2}t^2-a \\[0.3em]
\therefore \ 2tx-2y-t^2-2a=0 \quad\cdots\text{①}
\end{array}$$
よって、①と原点の距離 $g(t)$ は
$$\begin{align}
g(t) &= \dfrac{|-t^2-2a|}{\sqrt{4t^2+4}} \\
&= \dfrac{t^2+2a}{2\sqrt{t^2+1}} \ \text{(}\because a\gt0 \ \text{)}
\end{align}$$であるから
$$\begin{align}
2g'(t) &= \dfrac{2t\sqrt{t^2+1}-(t^2+2a)\cdot\dfrac{t}{\sqrt{t^2+1}}}{t^2+1} \\
&= \dfrac{t\{t^2-(2a-2)\}}{(t^2+1)\sqrt{t^2+1}}
\end{align}$$となり、$(t^2+1)\sqrt{t^2+1}\gt 0$ である。
(ⅰ) $2a-2\leqq 0$ すなわち $0\lt a\leqq 1$ のとき
$t^2-(2a-2)\geqq 0$ より、$g'(t)$ の符号は $t$ の符号と一致する。
したがって、$g(t)$ は $t\lt 0$ で単調減少、$t\gt 0$ で単調増加し、$t=0$ で最小値 $g(0)=a$ をとる。
(ⅱ) $2a-2\gt 0$ すなわち $a\gt 1$ のとき
$g(t)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c||c|c|c|c|c|c|c}\hline
t & \cdots & -\sqrt{2a-2} & \cdots & 0 & \cdots & \sqrt{2a-2} & \cdots\\ \hline
g’(t) & – & 0 & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline
g(t) & \searrow & \text{極小} & \nearrow & \text{極大} & \searrow & \text{極小} & \nearrow \\ \hline
\end{array}$$
よって、$g(t)$ は $t=\pm\sqrt{2a-2}$ のとき、最小値
$$\begin{align}
g(\pm\sqrt{2a-2}) &= \dfrac{(2a-2)+2a}{2\sqrt{(2a-2)+1}} \\
&= \sqrt{2a-1}
\end{align}$$をとる。
以上より、$g(t)$ は
$$\left\{
\begin{alignat}{2}
&\boldsymbol{0\lt a\leqq 1} \ \mathbf{\text{のとき}}& &\text{:} \boldsymbol{t=0} \ \mathbf{\text{で最小値}} \ \boldsymbol{a} \\
&\boldsymbol{a\gt 1} \ \mathbf{\text{のとき}}& &\text{:} \boldsymbol{t=\pm\sqrt{2a-2}} \ \mathbf{\text{で最小値}} \ \boldsymbol{\sqrt{2a-1}}
\end{alignat}
\right.$$をとる。
$$\left\{
\begin{alignat}{2}
&\boldsymbol{0\lt a\leqq 1} \ \mathbf{\text{のとき}}& &\text{:} \boldsymbol{t=0} \ \mathbf{\text{で最小値}} \ \boldsymbol{a} \\
&\boldsymbol{a\gt 1} \ \mathbf{\text{のとき}}& &\text{:} \boldsymbol{t=\pm\sqrt{2a-2}} \ \mathbf{\text{で最小値}} \ \boldsymbol{\sqrt{2a-1}}
\end{alignat}
\right.$$
解説
設定が分かりやすく、道筋も立てやすい問題です。
$a$ の値によって $g'(t)=0$ となるタイミングが変わることに注意しましょう。
まとめ
今回は、神戸大学理系数学(2022年後期 第1問)の解説をしました。
ほかの問題にもチャレンジしよう!
神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第1問 解説
神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第2問 解説
神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第3問 解説
神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第4問 解説
神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第5問 解説