数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2022年[後期] 第5問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2022年後期 第5問)の解説をしたいと思います。

問題

$m$ を整数,$n$ を自然数とし,$m$ を $2n-1$ で割ると $n-1$ 余り,$2n+1$ で割ると $n$ 余るとする.以下の問に答えよ.

⑴ $2n-1$ と $2n+1$ は互いに素であることを示せ.

⑵ $n=5$ のときの $m$ をすべて求めよ.

⑶ $m$ を $4n^2-1$ で割った余りを $n$ を用いて表せ.

(神戸大学)

解答

$2n-1$ と $2n+1$ が互いに素でないと仮定すると、$2$ 以上の整数 $d$ が存在して
$$2n-1=dk,\quad 2n+1=d\ell$$とおける。ただし、$k,\ell$ は $k\lt\ell$ を満たす自然数である。

$2$ 式の差をとると
$$d(\ell-k)=2$$となる。

$d, \ $$\ell-k$ はともに自然数であり $d\geqq 2$ なので
$$(d, \ \ell-k)=(2,1)$$となるが、このとき
$$n=\dfrac{d\ell-1}{2}=\ell-\dfrac{1}{2}$$となり、$n$ が自然数であることに矛盾する。

よって、$2n-1$ と $2n+1$ は互いに素である。$$\tag{証明終}$$

$n=5$ より、$m$ は $9$ で割ると $4$ 余り $11$ で割ると $5$ 余る整数であるから、整数 $p,q$ を用いて
$$m=9p+4,\quad m=11q+5 \quad\cdots\text{①}$$とおける。

①より
$$\begin{align}
9p+4 &= 11q+5 \\[0.3em]
\therefore \ 9p-11q &= 1 \quad\cdots\text{②}
\end{align}$$となる。

$(p,q)=(5,4)$ は②を満たすので
$$9\cdot 5-11\cdot 4 = 1 \quad\cdots\text{③}$$②$-$③より
$$9(p-5)=11(q-4)$$$9$ と $11$ は互いに素なので、整数 $a$ を用いて
$$p-5=11a,\quad q-4=9a$$すなわち
$$p=11a+5,\quad q=9a+4$$とおける。

したがって、①より
$$m=\boldsymbol{99a+49} \ \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{a} \ \mathbf{\text{は整数)}}$$

答え

$$\boldsymbol{99a+49} \ \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{a} \ \mathbf{\text{は整数)}}$$

整数 $p’,q’$ を用いて
$$\begin{array}{l}
m=(2n-1)p’+(n-1), \\
m=(2n+1)q’+n
\end{array}
\quad\cdots\text{④}$$とおける。

④より
$$\begin{align}
(2n-1)p’+(n-1) &= (2n+1)q’+n \\[0.3em]
\therefore \ (2n-1)p’-(2n+1)q’ &= 1 \quad\cdots\text{⑤}
\end{align}$$となる。

$(p’,q’)=(n,n-1)$ は②を満たす(補足1)ので
$$(2n-1)n-(2n+1)(n-1) = 1 \quad\cdots\text{⑥}$$⑤$-$⑥より
$$(2n-1)(p’-n)=(2n+1)(q’-n+1)$$⑴より、$2n-1$ と $2n+1$ は互いに素なので、整数 $a’$ を用いて
$$p’-n=(2n+1)a’,\quad q’-n+1=(2n-1)a’$$すなわち
$$p’=(2n+1)a’+n,\quad q’=(2n-1)a’+n-1$$とおける。

したがって、④より
$$m=(4n^2-1)a’+2n^2-1$$となるので、$m$ を $4n^2-1$ で割った余りは $\boldsymbol{2n^2-1}$ である。

答え

$$\boldsymbol{2n^2-1}$$

解説

⑴は、互いに素の証明問題で、基本的なレベルです。
$2$ 以上の公約数があるという仮定から矛盾を導きましょう。

⑵は、解き方を知らなければ迷うかもしれません。
解答のようにユークリッドの互除法に持ち込む解法を覚えておきましょう。

⑶は、⑵をヒントとして同じことをすれば大丈夫です。

補足

〔1〕
ユークリッドの互除法を用いた、$(2n-1)p’-(2n+1)q’=1$ を満たす整数の組 $(p’,q’)$ の見つけ方を示します。

$$\begin{align}
2n+1 &= (2n-1)+2 \\[0.2em]
2n-1 &= 2(n-1)+1
\end{align}$$より
$$\begin{align}
1 &= (2n-1)-2(n-1) \\
&= (2n-1)-\{(2n+1)-(2n-1)\}(n-1) \\
&= (2n-1)\{1+(n-1)\}-(2n+1)(n-1) \\
&= (2n-1)n-(2n+1)(n-1)
\end{align}$$となるので、$(p’,q’)=(n,n-1)$ が $1$ つの組として見つかります。
解答へ戻る

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2022年後期 第5問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!