数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2021年 第1問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2021年 第1問)の解説をしたいと思います。

問題

$i$ を虚数単位とする.以下の問に答えよ.

⑴ $n=2,3,4,5$ のとき $(2+i)^n$ を求めよ.またそれらの虚部の整数を $10$ で割った余りを求めよ.

⑵ $n$ を正の整数とするとき $(2+i)^n$ は虚数であることを示せ.

(神戸大学)

解答

$$\begin{align}
(2+i)^2 &= \boldsymbol{3+4i} \\[0.3em]
(2+i)^3 &= (3+4i)(2+i) \\
&= \boldsymbol{2+11i} \\[0.3em]
(2+i)^4 &= (2+11i)(2+i) \\
&= \boldsymbol{-7+24i} \\[0.3em]
(2+i)^5 &= (-7+24i)(2+i) \\
&= \boldsymbol{-38+41i}
\end{align}$$

また $n=2,3,4,5$ のとき、これらの虚部の整数を $10$ で割った余りはそれぞれ $\mathbf{4},\mathbf{1},\mathbf{4},\mathbf{1}$ である。

答え

$$\begin{align}
(2+i)^2 &= \boldsymbol{3+4i} \\
(2+i)^3 &= \boldsymbol{2+11i} \\
(2+i)^4 &= \boldsymbol{-7+24i} \\
(2+i)^5 &= \boldsymbol{-38+41i} \\
\end{align}$$これらの虚部の整数を $10$ で割った余りはそれぞれ $\mathbf{4},\mathbf{1},\mathbf{4},\mathbf{1}$

正の整数 $n$ に対して、
「$(2+i)^n$ の実部と虚部の整数を $10$ で割った余りは、$n$ が奇数のときそれぞれ $2$ と $1$,$n$ が偶数のときそれぞれ $3$ と $4$ である」$\cdots(*)$
が成り立つことを数学的帰納法により示す。

(ⅰ) $n=1$ のとき
実部は $2$,虚部は $1$ なので成り立つ。

(ⅱ) $n=k$( $k$ は正の奇数)のとき $(*)$ が成り立つと仮定すると、整数 $a,b$ を用いて
$$(2+i)^k=(10a+2)+(10b+1)i$$とおける。

このとき、$n=k+1$ とすると、$n$ は偶数であり
$$\begin{align}
(2+i)^{k+1} &= (2+i)^k(2+i) \\
&= \{(10a+2)+(10b+1)i\}(2+i) \\
&= (20a-10b+3)+(10a+20b+4)i
\end{align}$$より成り立つ。

また、$n=k+2$ とすると、$n$ は奇数であり
$$\begin{align}
(2+i)^{k+2} &= (2+i)^k(2+i)^2 \\
&= \{(10a+2)+(10b+1)i\}(3+4i) \\
&= (30a-40b+2)+(40a+30b+11)i
\end{align}$$より成り立つ。

(ⅰ),(ⅱ)より、正の整数 $n$ に対して $(*)$ が成り立つ。

したがって、正の整数 $n$ に対して $(2+i)^n$ の虚部が $0$ となることはないので、$(2+i)^n$ は虚数である。$$\tag{証明終}$$

解説

⑴から、虚部を $10$ で割った余りは $1$ または $4$ となり、$0$ とならないことが推測できます。

⑵ではそれを数学的帰納法により証明しますが、虚部に関する仮定だけではうまく帰納法が回りません。そこでよく観察してみると、実部に関しても $10$ で割った余りに規則性があることに気づきます。それも踏まえて仮定すれば、うまく帰納法が回ります。

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2021年 第1問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!