数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2020年 第5問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2020年 第5問)の解説をしたいと思います。

問題

$p$ を $2$ 以上の自然数とし,数列 $\{x_n\}$ は
$$x_1=\dfrac{1}{{2\mathstrut}^p+1},\quad x_{n+1}=|2x_n-1|$$をみたすとする.以下の問に答えよ.

⑴ $p=3$ のとき,$x_n$ を求めよ.

⑵ $x_{p+1}=x_1$ であることを示せ.

(神戸大学)

解答

$$\begin{align}
x_1 &= \dfrac{1}{2^3+1} = \dfrac{1}{9}, \\
x_2 &= \left|2\cdot\dfrac{1}{9}-1\right|=\dfrac{7}{9}, \\
x_3 &= \left|2\cdot\dfrac{7}{9}-1\right|=\dfrac{5}{9}, \\
x_4 &= \left|2\cdot\dfrac{5}{9}-1\right|=\dfrac{1}{9}=x_1
\end{align}$$より、数列 $\{x_n\}$ の各項は $\dfrac{1}{9},$$\dfrac{7}{9},$$\dfrac{5}{9}$ を循環する。

よって
$$x_n=\left\{ \
\begin{array}{cl}
\boldsymbol{\dfrac{1}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k-2} \ \mathbf{\text{のとき)}} \\
\boldsymbol{\dfrac{7}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k-1} \ \mathbf{\text{のとき)}} \\
\boldsymbol{\dfrac{5}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k} \ \mathbf{\text{のとき)}}
\end{array}
\right.$$ただし、$\boldsymbol{k}$ は自然数である。

答え

$$x_n=\left\{
\begin{array}{cl}
\ \boldsymbol{\dfrac{1}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k-2} \ \mathbf{\text{のとき)}} \\
\ \boldsymbol{\dfrac{7}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k-1} \ \mathbf{\text{のとき)}} \\
\ \boldsymbol{\dfrac{5}{9}} & \mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{n=3k} \ \mathbf{\text{のとき)}}
\end{array}
\right.$$ただし、$\boldsymbol{k}$ は自然数

$2\leqq n\leqq p+1$ のとき
$$x_n=1-\dfrac{2^{n-1}}{{2\mathstrut}^p+1} \quad\cdots(*)$$が成り立つことを数学的帰納法により示す。

(ⅰ) $n=2$ のとき
$$\begin{align}
x_2 &= \left|\dfrac{2}{{2\mathstrut}^p+1}-1\right| \\
&= 1-\dfrac{2}{{2\mathstrut}^p+1} \ \left(\because\dfrac{2}{{2\mathstrut}^p+1}\lt 1\right)
\end{align}$$より成り立つ。

(ⅱ) $n=\ell$( $\ell$ は $2\leqq\ell\leqq p$ をみたす整数)のとき $(*)$ が成り立つ、すなわち
$$x_\ell=1-\dfrac{2^{\ell-1}}{{2\mathstrut}^p+1}$$が成り立つと仮定すると、$n=\ell+1$ のとき
$$\begin{align}
x_{\ell+1} &= \left|2\left(1-\dfrac{2^{\ell-1}}{{2\mathstrut}^p+1}\right)-1\right| \\
&= \left|1-\dfrac{2^{\ell}}{{2\mathstrut}^p+1}\right| \\
&= 1-\dfrac{2^{\ell}}{{2\mathstrut}^p+1} \\
&\hphantom{=} \ \left(\because\ell\leqq p \ \text{より} \ \dfrac{2^{\ell}}{{2\mathstrut}^p+1}\lt 1\right)
\end{align}$$より成り立つ。

(ⅰ),(ⅱ)より、$2\leqq n\leqq p+1$ のとき $(*)$ が成り立つ。

したがって、$n=p+1$ とすると
$$\begin{align}
x_{p+1} &= 1-\dfrac{{2\mathstrut}^p}{{2\mathstrut}^p+1} \\
&= \dfrac{1}{{2\mathstrut}^p+1} \\
&= x_1
\end{align}$$となるので、題意は示された。$$\tag{証明終}$$

解説

⑴,⑵ともに実験が大事な問題です。

漸化式に絶対値が入っているので一般項は簡単に求まりません。

そこで、ある程度実験をすると、規則性があることに気づくので、それを数学的帰納法により示しましょう。

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2020年 第5問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!