数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2020年 第3問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2020年 第3問)の解説をしたいと思います。

問題

以下の問に答えよ.

⑴ 和が $30$ になる $2$ つの自然数からなる順列の総数を求めよ.

⑵ 和が $30$ になる $3$ つの自然数からなる順列の総数を求めよ.

⑶ 和が $30$ になる $3$ つの自然数からなる組合せの総数を求めよ.

(神戸大学)

解答

$2$ つの自然数を $x,y$ とすると
$$\begin{align}
x+y &= 30 \\[0.2em]
\therefore \ (x-1)+(y-1) &= 28
\end{align}$$

$x-1, \ y-1$ は $0$ 以上の整数なので、$28$ 個の○と $1$ 本の|を $1$ 列に並べたとき、|の左側および右側にある○の個数をそれぞれ $x-1, \ $$y-1$ とすれば、「○と|の並び方」と「組 $(x-1,y-1)$ 」が $1$ 対 $1$ 対応する。

さらに、「組 $(x-1,y-1)$ 」と「組 $(x,y)$ 」は $1$ 対 $1$ 対応する。

○と|の並び方の総数は
$${}_{29}\mathrm{C}_1=29$$なので、求める順列の総数は $\mathbf{29}$ である。

答え

$$\mathbf{29}$$

$3$ つの自然数を $x,y,z$ とすると
$$\begin{align}
x+y+z &= 30 \\[0.2em]
\therefore \ (x-1)+(y-1)+(z-1) &= 27
\end{align}$$

$x-1, \ y-1, \ z-1$ は $0$ 以上の整数なので、$27$ 個の○と $2$ 本の|を $1$ 列に並べたとき、$2$ 本の|の左側、間、および右側にある○の個数をそれぞれ $x-1, \ $$y-1, \ $$z-1$ とすれば、「○と|の並び方」と「組 $(x-1,y-1,z-1)$ 」が $1$ 対 $1$ 対応する。

さらに、「組 $(x-1,y-1,z-1)$ 」と「組 $(x,y,z)$ 」は $1$ 対 $1$ 対応する。

○と|の並び方の総数は
$${}_{29}\mathrm{C}_2=406$$なので、求める順列の総数は $\mathbf{406}$ である。

答え

$$\mathbf{406}$$

$3$ つの自然数を $x,y,z$( $x\leqq y\leqq z$ )とすると
$$3x\leqq x+y+z=30$$より
$$1\leqq x\leqq 10$$である。

$x=k$( $k$ は $1\leqq k\leqq 10$ をみたす整数)のとき
$$2y\leqq y+z=30-k$$より
$$k\leqq y\leqq\left[15-\dfrac{k}{2}\right] \quad\cdots\text{①}$$である。ただし、$[X]$ は実数 $X$ 以下の最大の整数を表す。

$k=1,2,\cdots,10$ それぞれに対して①をみたす整数 $y$ の個数の総和が、求める組合せの総数である。

よって
$$\begin{eqnarray}
&& \displaystyle\sum_{k=1}^{10}\left(\left[15-\dfrac{k}{2}\right]-k+1\right) \\
&=& \displaystyle\sum_{\ell=1}^{5}\displaystyle\sum_{k=2\ell-1}^{2\ell}\left[15-\dfrac{k}{2}\right]-\dfrac{1}{2}\cdot 10\cdot 11+10 \\
&=& \displaystyle\sum_{\ell=1}^{5}\left(\left[15-\ell+\dfrac{1}{2}\right]+[15-\ell]\right)-45 \\
&=& \displaystyle\sum_{\ell=1}^{5}\{2(15-\ell)\}-45 \\
&=& 30\cdot 5-2\cdot\dfrac{1}{2}\cdot 5\cdot 6-45 \\
&=& \mathbf{75}
\end{eqnarray}$$

答え

$$\mathbf{75}$$

解説

「順列」と「組合せ」の違いに注意しましょう。

具体例を挙げて説明すると、⑵では $(1,1,28)$ と $(1,28,1)$ と $(28,1,1)$ を別のもの(計 $3$ つ)としてカウントしますが、⑶では組合せのみを考慮するので、先ほどの $3$ つの組は同じもの(計 $1$ つ)としてカウントします。

つまり、カブりを数えない分、⑵より⑶の方が圧倒的に数が少なくなります。

⑶では $3$ つの自然数を $x,y,z$ とおくだけでは対称のままなので、$x\leqq y\leqq z$ のように自分で大小関係を設定する必要があります。

$\displaystyle\sum_{k=1}^{10}\left[15-\dfrac{k}{2}\right]$ の計算に関して、解答では $\displaystyle\sum$ 計算のまま押し切っていますが、数が少ないので、分かりにくければ以下のように書き下しても大丈夫です。
$$\begin{eqnarray}
&& \displaystyle\sum_{k=1}^{10}\left[15-\dfrac{k}{2}\right] \\
&=& 14+14+13+13+12+12+11+11+10+10
\end{eqnarray}$$答えだけはぜひ合わせましょう。

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2020年 第3問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!