今回は、神戸大学理系数学(2019年 第1問)の解説をしたいと思います。
問題
以下の問に答えよ.
⑴ 関数
$$f(x)=\dfrac{\log x}{x}$$の $x\gt 0$ における最大値とそのときの $x$ の値を求めよ.⑵ $a$ を $a\ne 1$ をみたす正の実数とする.曲線 $y=e^x$ と曲線 $y=x^a$( $x\gt 0$ )が共有点 $\mathrm{P}$ をもち,さらに点 $\mathrm{P}$ において共通の接線をもつとする.点 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標を $t$ とするとき,$a$ と $t$ の値を求めよ.
⑶ $a$ と $t$ を⑵で求めた実数とする.$x$ を $x\ne t$ をみたす正の実数とするとき,$e^x$ と $x^a$ の大小を判定せよ.
(神戸大学)
解答
⑴
$$\begin{align}
f'(x) &= \dfrac{\dfrac{1}{x}\cdot x-\log x}{x^2} \\
&= \dfrac{1-\log x}{x^2}
\end{align}$$より、$x\gt 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c||c|c|c|c}\hline
x & (0) & \cdots & e & \cdots \\ \hline
f'(x) & & + & 0 & – \\ \hline
f(x) & & \nearrow & \dfrac{1}{e} & \searrow \\ \hline
\end{array}$$
よって、$f(x)$ は $\boldsymbol{x=e}$ のとき最大値 $\boldsymbol{\dfrac{1}{e}}$ をとる。
$$\boldsymbol{\dfrac{1}{e}}\mathbf{\text{(}} \ \boldsymbol{x=e} \ \mathbf{\text{のとき)}}$$
⑵
$$(e^x)’=e^x,\quad(x^a)’=ax^{a-1}$$より、$2$ 曲線 $y=e^x$ と $y=x^a$ が題意を満たすとき
$$\left\{
\begin{alignat}{2}
e^t &= t^a& &\quad\cdots\text{①} \\
e^t &= at^{a-1}& &\quad\cdots\text{②} \\
\end{alignat}
\right.$$が成り立つ。
①,②より
$$t^a=at^{a-1}$$であり、$t\gt 0$ より、両辺を $t^{a-1} \ (\ne 0)$ で除すと
$$t=a$$となる。
よって、①より
$$e^a=a^a$$両辺の自然対数をとると
$$\begin{align}
a &= a\log a \\
a(1-\log a) &= 0 \\[0.3em]
\therefore \ a &= 0,e
\end{align}$$$a\gt 0$ より $a=e$ である。
以上より
$$a=t=\boldsymbol{e}$$
$$a=t=\boldsymbol{e}$$
⑶
$0\lt x\lt e, \ $$e\lt x$ のとき、$e^x$ と $x^e$ の大小を判定する。
このとき、⑴より
$$f(x)\lt\dfrac{1}{e}$$である。
よって
$$\begin{align}
\dfrac{\log x}{x} &\lt \dfrac{1}{e} \\
e\log x &\lt x \ \text{(}\because x\gt 0 \ \text{)} \\[0.2em]
\log x^e &\lt \log e^x \\[0.2em]
\therefore \ x^e &\lt e^x \ \text{(}\because\text{底} \ e\gt 1 \ \text{)}
\end{align}$$となるから
$$\boldsymbol{e^x\gt x^a}$$
$$\boldsymbol{e^x\gt x^a}$$
解説
指数・対数の標準的な問題です。
⑵のように「共有点で共通の接線をもつ」という設定の問題は頻出なので、処理の方法を確認しておきましょう。
具体的には、$f(t)=g(t)$ かつ $f'(t)=g'(t)$ です。
⑶は、⑴をどう使うか考えましょう。
まとめ
今回は、神戸大学理系数学(2019年 第1問)の解説をしました。
ほかの問題にもチャレンジしよう!
神戸大学 理系数学 2019年 第1問 解説
神戸大学 理系数学 2019年 第2問 解説
神戸大学 理系数学 2019年 第3問 解説
神戸大学 理系数学 2019年 第4問 解説
神戸大学 理系数学 2019年 第5問 解説