数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2020年[後期] 第5問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2020年後期 第5問)の解説をしたいと思います。

問題

さいころを $3$ 回投げ,出た目の数を順に $a_1, \:$$a_2, \:$$a_3$ とする.このとき,$x_0,\:$$x_1,\:$$x_2,\:$$x_3,\:$$x_4$ を
$$x_0=\dfrac{1}{2},\quad x_k=a_k\,x_{k-1}(1-x_{k-1})\quad(k=1,2,3,4)$$で定める.ただし,$a_4=1$ とする.また,$k=2,3,4$ に対して,$x_k=0$ となる確率を $p_k$ とし,$x_k\gt 0$ となる確率を $q_k$ とする.以下の問に答えよ.

⑴ $p_2,\:$$q_2$ を求めよ.

⑵ $p_3,\:$$q_3$ を求めよ.

⑶ $p_4$ を求めよ.

(神戸大学)

解答

$$\begin{align}
x_1 &= a_1x_0(1-x_0) \\
&= a_1\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{2} \\
&= \dfrac{1}{4}a_1
\end{align}$$より
$$\begin{align}
x_2 &= a_2x_1(1-x_1) \\
&= a_2\cdot\dfrac{1}{4}a_1\left(1-\dfrac{1}{4}a_1\right) \\
&= \dfrac{1}{16}a_1a_2(4-a_1) \quad\cdots\text{①}
\end{align}$$となる。

$a_1\gt 0, \ $$a_2\gt 0$ より
$$x_2=0 \ \Longleftrightarrow \ a_1=4$$であるから
$$p_2=\boldsymbol{\dfrac{1}{6}}$$である。

また
$$\begin{align}
x_2\gt 0 \ &\Longleftrightarrow \ 4-a_1\gt 0 \\[0.3em]
&\Longleftrightarrow \ a_1=1,2,3
\end{align}$$であるから
$$q_2=\dfrac{3}{6}=\boldsymbol{\dfrac{1}{2}}$$である。

答え

$$p_2=\boldsymbol{\dfrac{1}{6}},\quad q_2=\boldsymbol{\dfrac{1}{2}}$$

$$\begin{align}
x_3 &= a_3x_2(1-x_2) \\
&= a_3\cdot\dfrac{1}{16}a_1a_2(4-a_1)\left\{1-\dfrac{1}{16}a_1a_2(4-a_1)\right\} \\
&= \dfrac{1}{2^8}a_1a_2a_3(4-a_1)(16-4a_1a_2+a_1^{\,2}a_2) \quad\cdots\text{②}
\end{align}$$であり、$a_3\gt 0$ より
$$x_3=0 \ \Longleftrightarrow \ x_2=0,1$$である。

$x_2=0$ となる確率は、⑴より $p_2=\dfrac{1}{6}$ である。

$x_2=1$ のとき、①より
$$a_1a_2(4-a_1)=16$$であり、これを満たすのは
$$(a_1,a_2)=(2,4)$$の $1$ 通りである。

よって
$$p_3=\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{6^2}=\boldsymbol{\dfrac{7}{36}}$$である。

また
$$\begin{align}
x_3\gt 0 \ &\Longleftrightarrow \ x_2(1-x_2)\gt 0 \\[0.3em]
&\Longleftrightarrow \ 0\lt x_2\lt 1 \\[0.3em]
&\Longleftrightarrow \ 0\lt a_1a_2(4-a_1)\lt 16
\end{align}$$であり、これを満たすのは
$$\begin{align}
(a_1,a_2) = \; &(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(1,5), \\
&(2,1),(2,2),(2,3), \\
&(3,1),(3,2),(3,3),(3,4),(3,5)
\end{align}$$の $13$ 通りである。

よって
$$q_3=\dfrac{13}{6^2}=\boldsymbol{\dfrac{13}{36}}$$である。

答え

$$p_3=\boldsymbol{\dfrac{7}{36}},\quad q_3=\boldsymbol{\dfrac{13}{36}}$$

$$\begin{align}
x_4 &= a_4x_3(1-x_3) \\[0.2em]
&= x_3(1-x_3)
\end{align}$$より
$$x_4=0 \ \Longleftrightarrow \ x_3=0,1$$である。

$x_3=0$ となる確率は、⑴より $p_3=\dfrac{7}{36}$ である。

$x_3=1$ のとき、②より
$$a_1a_2a_3(4-a_1)(16-4a_1a_2+a_1^{\,2}a_2)=2^8 \quad\cdots\text{③}$$である。

$a_1, \ $$4-a_1$ がともに $2^8$ の約数であるから
$$a_1=2$$となる。

$a_1=2$ を③に代入して整理すると
$$a_2a_3(4-a_2)=16$$となり、これを満たすのは
$$(a_2,a_3)=(2,4)$$の $1$ 通りである。

よって、$x_3=1$ となるのは
$$(a_1,a_2,a_3)=(2,2,4)$$の $1$ 通りである。

以上より
$$p_4=\dfrac{7}{36}+\dfrac{1}{6^3}=\boldsymbol{\dfrac{43}{216}}$$である。

答え

$$\boldsymbol{\dfrac{43}{216}}$$

解説

漸化式によって定まる値と $0$ の大小を考える、面白い問題です。

$x_k=0$ は $x_{k-1}=0,1$ と同値であり、$2$ つの事象「 $x_{k-1}=0$ 」と「 $x_{k-1}=1$ 」は排反なので、それぞれの確率を単純に足すことで $p_k$ を求めることができます。

$3$ つの文字の入った方程式では絞り込みを考えた方がいいですが、$2$ つの文字であれば高々 $36$ 通りの組み合わせなので、しらみつぶしで考える方が早い場合が多いです。

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2020年後期 第5問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!