数学過去問解説

一橋大学 数学 2020年 第4問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、一橋大学数学(2020年 第4問)の解説をしたいと思います。

問題

 $x\gt0$ に対し
$$F(x)=\dfrac{1}{x}\displaystyle\int_{2-x}^{2+x}|\,t-x\,|dt$$と定める。$F(x)$ の最小値を求めよ。

(一橋大学)

解答

$$|\,t-x\,|=\left\{
\begin{array}{cl}
t-x & (t\geqq x) \\
x-t & (t\leqq x) \\
\end{array}
\right.$$であり、$x$ と $2-x$ の大小で場合分けをする。

(ⅰ) $x\leqq 2-x$ すなわち $0\lt x\leqq1$ のとき
$$\begin{align}
xF(x) &= \displaystyle\int_{2-x}^{2+x}|\,t-x\,|dt \\
&= \displaystyle\int_{2-x}^{2+x}(t-x)dt \\
&= \left[\dfrac{t^2}{2}-tx\right]_{2-x}^{2+x} \\
&= \dfrac{(2+x)^2}{2}-(2+x)x-\dfrac{(2-x)^2}{2}+(2-x)x \\[0.2em]
&= 4x-2x^2
\end{align}$$より
$$F(x)=4-2x$$となり、$x=1$ のとき最小値 $F(1)=2$ をとる。

(ⅱ) $x\geqq 2-x$ すなわち $x\geqq1$ のとき

$$\begin{eqnarray}
xF(x) &=& \displaystyle\int_{2-x}^{2+x}|\,t-x\,|dt \\
&=& \displaystyle\int_{2-x}^{x}(x-t)dt+\displaystyle\int_{x}^{2+x}(t-x)dt \\
&=& \left[tx-\dfrac{t^2}{2}\right]_{2-x}^{x}+\left[\dfrac{t^2}{2}-tx\right]_{x}^{2+x} \\
&=& x^2-\dfrac{x^2}{2}-(2-x)x+\dfrac{(2-x)^2}{2} \\
&\hphantom{=}& +\dfrac{(2+x)^2}{2}-(2+x)x-\dfrac{x^2}{2}+x^2 \\[0.2em]
&=& 2x^2-4x+4
\end{eqnarray}$$より
$$F(x)=2x-4+\dfrac{4}{x}.$$

$2x\gt0$,$\dfrac{4}{x}\gt0$ より、相加・相乗平均の大小関係から
$$\begin{align}
F(x) &\geqq 2\sqrt{2x\cdot\dfrac{4}{x}}-4 \\
&= 4\sqrt{2}-4
\end{align}$$が成り立つ。等号成立は $2x=\dfrac{4}{x}$ すなわち $x=\sqrt{2}$ のときであり、$x\geqq1$ を満たす。

したがって、$x=\sqrt{2}$ のとき最小値 $F(\sqrt{2})=4\sqrt{2}-4$ をとる。

(ⅰ),(ⅱ)より
$$\begin{align}
2-(4\sqrt{2}-4) &= 6-4\sqrt{2} \\
&= \sqrt{36}-\sqrt{32} \gt0
\end{align}$$となり $2\gt4\sqrt{2}-4$ が成り立つので、$F(x)$ の最小値は $\boldsymbol{4\sqrt{2}-4}$($\,x=\sqrt{2}$ のとき)である。

答え

$$\boldsymbol{4\sqrt{2}-4}$$

解説

絶対値の入った積分ですが、「絶対値の値が切り替わる $t\,$」と「積分区間の下端の $t\,$」の大小によって計算する式が変わることに注意しましょう。

また、$\displaystyle\int_{2-x}^{2+x}|\,t-x\,|dt$ において $x$ は定数扱いです。文字が $2$ つ以上入った積分では、変数として扱っている文字は何かを意識しながら解きましょう。

まとめ

今回は、一橋大学数学(2020年 第4問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!