今回は、一橋大学数学(2020年 第2問)の解説をしたいと思います。
問題
$a$ を定数とし,$0\leqq\theta\lt\pi$ とする。方程式
(一橋大学)
$$\tan2\theta+a\tan\theta=0$$を満たす $\theta$ の個数を求めよ。
解答
$$\tan2\theta+a\tan\theta=0\quad\cdots\text{①}$$において
$\tan\theta=t$ とおくと、$0\leqq\theta\lt\pi \ $$\left(\theta\ne\dfrac{\pi}{4},\dfrac{\pi}{2},\dfrac{3}{4}\pi\right)$ のとき $t$ は $\pm1$ を除く実数全体を動き、$\theta$ と $t$ は $1$ 対 $1$ 対応する。
このとき、方程式を $t$ の式に書き直すと
$$\begin{align}
\dfrac{2t}{1-t^2}+at &= 0 \\[0.2em]
\therefore \ t\,\{a(1-t^2)+2\} &= 0.\quad\cdots\text{②}
\end{align}$$
(ⅰ) $t=0$ のとき
①の解は $\theta=0.$
(ⅱ) $t\ne0$ のとき
②より
$$a(1-t^2)+2=0\quad(t\ne0, \ \pm1)$$であり、$a=0$ はこれを満たさないので、両辺を $a$ で除すと
$$\begin{align}
1-t^2 &= \dfrac{2}{a} \\
\therefore \ t^2 &= 1-\dfrac{2}{a}\quad\cdots\text{③}
\end{align}$$となり、すべての実数 $a$ に対して $t^2\ne1$ である。
また、$t^2\gt0$ より
$$\begin{array}{c}
\begin{align}
1-\dfrac{2}{a} &\gt 0 \\[0.2em]
a^2\left(1-\dfrac{2}{a}\right) &\gt 0 \\[0.2em]
a(a-2) &\gt 0
\end{align} \\[0.3em]
\therefore\quad a\lt0, \ \ 2\lt a.
\end{array}$$
この範囲の $a$ に対して③の解は
$$t=\tan\theta=\pm\sqrt{1-\dfrac{2}{a}}$$となるので、①は $0\lt\theta\lt\pi \ $$\left(\theta\ne\dfrac{\pi}{4},\dfrac{\pi}{2},\dfrac{3}{4}\pi\right)$ の範囲に異なる $2$ 解をもつ。
また、$0\leqq a\leqq2$ のとき $t^2\leqq0$ であるから、$t\ne0$ をみたす③の解は存在しない。
(ⅰ),(ⅱ)より、①を満たす $\theta$ の個数は
$$\left\{
\begin{array}{ll}
\boldsymbol{a\lt-2}, \ \ \boldsymbol{0\lt a} \ \mathbf{\text{のとき}} & \mathbf{3 \ \text{個}} \\[0.2em]
\boldsymbol{-2\leqq a\leqq0} \ \mathbf{\text{のとき}} & \mathbf{1 \ \text{個}}
\end{array}
\right.$$
$$\left\{
\begin{array}{ll}
\boldsymbol{a\lt-2}, \ \ \boldsymbol{0\lt a} \ \mathbf{\text{のとき}} & \mathbf{3 \ \text{個}} \\[0.2em]
\boldsymbol{-2\leqq a\leqq0} \ \mathbf{\text{のとき}} & \mathbf{1 \ \text{個}}
\end{array}
\right.$$
解説
文字変数(この問題でいう $a\,$)の値によって解の個数を調べる典型問題です。
$\tan\theta=t$ というように、変数変換をした際には必ずその変数がとり得る値を確認しましょう。また、解の個数に関する問題では、変換前後の変数が $1$ 対 $1$ 対応するかどうかも重要になってきます。本問は $1$ 対 $1$ 対応するので複雑ではないですが、さらにレベルの高い問題では $1$ 対 $1$ 対応しないものも出てきます。
$$a(1-t^2)+2=0$$を満たす解 $t$ の個数については、$2$ つのグラフ $y=a(t^2-1)$ と $y=2$ の共有点の個数を調べる方法もあります。
また、$\theta=0$ は $a$ の値によらず存在する解であることに注意しましょう。
まとめ
今回は、一橋大学数学(2020年 第2問)の解説をしました。
ほかの問題にもチャレンジしよう!
一橋大学 数学 2020年 第1問 解説
一橋大学 数学 2020年 第2問 解説
一橋大学 数学 2020年 第3問 解説
一橋大学 数学 2020年 第4問 解説
一橋大学 数学 2020年 第5問 解説