数学過去問解説

大阪大学 理系数学 2021年 第5問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、大阪大学理系数学(2021年 第5問)の解説をしたいと思います。

問題

 次の問いに答えよ.

⑴ $a$ を実数とする.$x$ についての方程式 $x-\tan x=a$ の実数解のうち,$|x|\lt\dfrac{\pi}{2}$ をみたすものがちょうど $1$ 個あることを示せ.

⑵ 自然数 $n$ に対し,$x-\tan x=n\pi$ かつ $|x|\lt\dfrac{\pi}{2}$ をみたす実数 $x$ を $x_n$ とおく.$t$ を $|t|\lt\dfrac{\pi}{2}$ をみたす実数とする.このとき,曲線 $C:y=\sin x$ 上の点 $\mathrm{P}(t,\sin t)$ における接線が,不等式 $x\geqq\dfrac{\pi}{2}$ の表す領域に含まれる点においても曲線 $C$ と接するための必要十分条件は,$t$ が $x_1,x_2,x_3,\dots$ のいずれかと等しいことであることを示せ.

(大阪大学)

解答

$$f(x)=x-\tan x-a \ \left( |x|\lt\dfrac{\pi}{2} \right)$$とおくと、$x-\tan x=a$ の解は $f(x)=0$ の解である。

$$\begin{align}
f'(x) &= 1-\dfrac{1}{\cos^2x} \\
&= \dfrac{(\cos x+1)(\cos x-1)}{\cos^2x} \lt 0
\end{align}$$より、$f(x)$ は単調減少である。

$$\begin{align}
\displaystyle\lim_{x\to-\frac{\pi}{2}+0}f(x) &= \infty \\
\displaystyle\lim_{x\to\frac{\pi}{2}-0}f(x) &= -\infty
\end{align}$$より、$f(x)=0$ は $|x|\lt\dfrac{\pi}{2}$ において解をちょうど $1$ 個もつ。

したがって、題意は示された。$$\tag{証明終}$$

$y=\sin x$ より $y’=\cos x$ なので、曲線 $C$ の点 $\mathrm{P}(t,\sin t)$ における接線の方程式は
$$\begin{align}
y &= (\cos t)(x-t)+\sin t \\
\therefore\quad y &= (\cos t)x-t\cos t +\sin t \quad\cdots\text{①}
\end{align}$$

ここで、$u$ を $u\geqq\dfrac{\pi}{2}$ をみたす実数とすると、曲線 $C$ の点 $\mathrm{Q}(u,\sin u)$ における接線の方程式は、①の $t$ を $u$ として
$$y = (\cos u)x-u\cos u +\sin u \quad\cdots\text{②}$$

①,②が等しいとき題意を満たす。このとき
$$\left\{
\begin{alignat}{2}
\cos t &= \cos u & &\cdots\text{③}\\
-t\cos t +\sin t &= -u\cos u +\sin u &\quad &\cdots\text{④}
\end{alignat}
\right.$$が成り立ち、$|t|\lt\dfrac{\pi}{2}$ より $\cos t\gt 0$ なので、④の両辺を $\cos t \ (=\cos u)$ で除すと
$$-t+\tan t = -u +\tan u \quad \cdots\text{⑤}$$

③より、$k$ を自然数とすると
$$u = -t, \ \pm t +2k\pi$$となる。$u=-t$ のとき、⑤より
$$\begin{align}
t-\tan t &= -t-\tan (-t) \\
\therefore\quad t-\tan t &= 0
\end{align}$$$t=0$ はこれをみたし、⑴より、$t=0$ 以外でこれをみたす $t$ は存在しない。このとき③より、$\ell$ を自然数として $u=2\ell\pi$ と表せるが、$(\text{⑤の右辺})=2\ell\pi\ne 0$ となり矛盾する。

また、$u=t+2k\pi$ のとき、⑤より
$$\begin{align}
t-\tan t &= t+2k\pi-\tan (t+2k\pi) \\
\therefore\quad k &= 0
\end{align}$$となり、$k$ が自然数であることに矛盾する。

よって、③かつ⑤が成り立つ必要条件は $u=-t+2k\pi$ である。このとき、⑤より
$$\begin{align}
t-\tan t &= -t+2k\pi-\tan (-t+2k\pi) \\
2t-2\tan t &= 2k\pi \\
t-\tan t &= k\pi
\end{align}$$となり、⑴よりこれをみたす $t \ \left( |t|\lt\dfrac{\pi}{2} \right)$ が存在し、それは $x_n$ にほかならない。すなわち $t=x_n$ は③かつ⑤が成り立つ必要十分条件である。

以上より、題意をみたすための必要十分条件は、 $t$ が $x_n$、すなわち $x_1,x_2,x_3,\dots$ のいずれかと等しいことである。$$\tag{証明終}$$

解説

⑴は、$f(x)=x-\tan x$ とおいても大丈夫です。とにかく $\infty$ から $-\infty$ へ単調減少することを言いましょう。

⑵は、同じ曲線に同時に接する接線をどう表現するかがポイントです。本解答では、$x=t$ における接線と $x=u$ における接線が等しい(重なる)として立式しました。

三角関数の入った方程式を解く際には、$2\pi$ 周期の違いが出ることに注意しましょう。
解の候補が出たら矛盾がないかチェックし、過不足のないよう、丁寧に必要十分条件を求めましょう。今回は証明問題でゴールが明確なので、安心して解き進めましょう。

まとめ

今回は、大阪大学理系数学(2021年 第5問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!