今回は、京都大学理系数学(2021年 第2問)の解説をしたいと思います。
問題
曲線 $y=\dfrac{1}{2}(x^2+1)$ 上の点 $\mathrm{P}$ における接線は $x$ 軸と交わるとし,その交点を $\mathrm{Q}$ とおく.線分 $\mathrm{PQ}$ の長さを $L$ とするとき,$L$ が取りうる値の最小値を求めよ.
(京都大学)
解答
点 $\mathrm{P}$ の座標を $\left( a, \ \dfrac{1}{2}(a^2+1) \right)$ とする。
$y=\dfrac{1}{2}(x^2+1)$ より $y’=x$ であるから、点 $\mathrm{P}$ における接線の方程式は
$$\begin{eqnarray}
y &=& a(x-a)+\dfrac{1}{2}(a^2+1) \\
\therefore\quad y &=& ax-\dfrac{1}{2}a^2+\dfrac{1}{2} \quad\cdots\text{①}
\end{eqnarray}$$
$a=0$ とすると、①は $y=\dfrac{1}{2}$ となり、$x$ 軸と平行、すなわち $x$ 軸と交わらないので $a\ne 0$ である。
①で $y=0$ として点 $\mathrm{Q}$ の $x$ 座標を求めると
$$\begin{eqnarray}
0 &=& ax-\dfrac{1}{2}a^2+\dfrac{1}{2} \\
x &=& \dfrac{1}{2}a-\dfrac{1}{2a} \ \text{(}\because a\ne 0 \ \text{)}
\end{eqnarray}$$
よって
$$\begin{eqnarray}
L^2 &=& \mathrm{PQ}^2 \\
&=& \left\{ a-\left(\dfrac{1}{2}a-\dfrac{1}{2a}\right) \right\}^2 + \left\{ \dfrac{1}{2}(a^2+1) \right\}^2 \\
&=& \dfrac{1}{4a^2}(a^2+1)^2 + \dfrac{1}{4}(a^2+1)^2 \\
&=& \dfrac{1}{4}(a^2+1)^2\left(\dfrac{1}{a^2}+1\right) \\
&=& \dfrac{1}{4}\cdot\dfrac{(a^2+1)^3}{a^2}
\end{eqnarray}$$
$b=a^2$ とおくと、$a\ne 0$ より $b\gt 0$ であり
$$L^2 = \dfrac{1}{4}\cdot\dfrac{(b+1)^3}{b}$$
ここで、$f(b)=\dfrac{(b+1)^3}{b}$ とおくと
$$L^2 = \dfrac{1}{4}f(b)\quad\cdots\text{②}$$であり
$$\begin{eqnarray}
f'(b) &=& \dfrac{3(b+1)^2\cdot b \ – \ (b+1)^3 \cdot 1}{b^2} \\
&=& \dfrac{(b+1)^2(2b-1)}{b^2}
\end{eqnarray}$$
$f(b)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c||c|c|c|c}\hline
b & (0) & \cdots & \dfrac{1}{2} & \cdots \\ \hline
f'(b) & & – & 0 & + \\ \hline
f(b) & & \searrow & \text{最小} & \nearrow \\ \hline
\end{array}$$
よって、$f(b)$ は $b=\dfrac{1}{2}$ のとき最小となり、このとき②より
$$\begin{eqnarray}
L^2 &=& \dfrac{1}{4}f\left(\dfrac{1}{2}\right) \\
&=& \dfrac{1}{4}\cdot\left( \dfrac{1}{2}+1 \right)^3\cdot 2 \\
&=& \dfrac{3^3}{4^2}
\end{eqnarray}$$
したがって、$L$ の最小値は
$$L=\sqrt{\dfrac{3^3}{4^2}}=\boldsymbol{\dfrac{3\sqrt{3}}{4}} \ \text{(}\because L\gt 0 \ \text{)}$$
$$\boldsymbol{\dfrac{3\sqrt{3}}{4}}$$
解説
状況が分かりやすく、方針はほぼ $1$ 本道です。
$L^2 = \dfrac{1}{4}\cdot\dfrac{(a^2+1)^3}{a^2}$ と簡単な形にまとめることができれば大丈夫です。
そのまま微分すると計算量が多くなるので、解答のように $a^2$ を別の文字でおきましょう。
まとめ
今回は、京都大学理系数学(2021年 第2問)の解説をしました。
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