数学過去問解説

京都大学 理系数学 2019年 第2問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、京都大学理系数学(2019年 第2問)の解説をしたいと思います。

問題

 $f(x)=x^3+2x^2+2$ とする。$|f(n)|$ と $|f(n+1)|$ がともに素数となる整数 $n$ をすべて求めよ。

(京都大学)

解答

$n$ が偶数のとき、$|f(n)|$ は偶数となる。

偶数の素数は $2$ だけなので、$n$ が偶数のとき $|f(n)|$ が素数であるためには
$$\begin{align}
|f(n)|=|n^3+2n^2+2| &= 2 \\
\therefore \ n^3+2n^2+2 &= \pm2
\end{align}$$が満たされなければならない。

(ⅰ) $n^3+2n^2+2=2$ のとき
$$\begin{align}
n^3+2n^2 &= 0 \\
n^2(n+2) &= 0 \\[0.2em]
\therefore \ n &= 0,\,-2
\end{align}$$となり、これらの $n$ はいずれも偶数である。

(ⅱ) $n^3+2n^2+2=-2$ のとき
$$n^3+2n^2+4=0$$であり、これを満たす $n$ の必要条件は $n=\pm1,\,\pm2,\,\pm4$ であるが、いずれの $n$ を代入しても成り立たないので、この方程式の整数解は存在しない。

(ⅰ),(ⅱ)より、$|f(n)|$ が素数となるような偶数の $n$ は $n=0,\,-2$ に限られる。

ここで、$n,\,n+1$ は $2$ つの連続する整数なので、いずれか一方は偶数となる。

したがって、$n\leqq-4$,$2\leqq n$ のとき、$|f(n)|$ と $|f(n+1)|$ のいずれか一方は $2$ 以外の偶数となり、それは素数でないので条件を満たさない。

$|f(2)|$ が条件を満たさないことから、$n=1$ も不適となる。

ここで
$$\begin{align}
|f(-3)| &= |-27+18+2|=7, \\[0.2em]
|f(-2)| &= |-8+8+2|=2, \\[0.2em]
|f(-1)| &= |-1+2+2|=3, \\[0.2em]
|f(0)| &= 2, \\[0.2em]
|f(1)| &= |1+2+2|=5
\end{align}$$であり、これらはすべて素数であるから、条件を満たす $n$ は
$$n=\mathbf{-3},\,\mathbf{-2},\,\mathbf{-1},\,\mathbf{0}$$

答え

$$\mathbf{-3},\,\mathbf{-2},\,\mathbf{-1},\,\mathbf{0}$$

解説

$n$ と $n+1$ のどちらか一方が偶数になり、$f((\text{偶数}))=(\text{偶数})$ となることに気づけば、一気に $n$ の候補をしぼることができます。

「偶数の素数は $2$ だけ」は整数問題でよく使う事実なので、忘れないようにしましょう。

ちなみに (ⅱ) で、方程式を満たすための $n$ の必要条件をいきなり書いていますが、これは「整数係数の $n$ 次方程式の整数解は、定数項の約数以外には存在しない」という性質からきています。

これが思いつかなければ、以下のような方法でも「整数解が存在しないこと」を示せます:

$$n^3+2n^2+4=0 \quad\cdots(*)$$において $n$ は偶数なので、$n=2k$($\,k$ は整数)とおくと
$$\begin{align}
8k^3+8k^2+4 &= 0 \\
\therefore \ k^2(k+1) &= -\dfrac{1}{2}
\end{align}$$となり、これを満たす整数 $k$ は存在しないので、$(*)$ を満たす整数解は存在しない。

まとめ

今回は、京都大学理系数学(2019年 第2問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!