今回は、京都大学理系数学(2022年 第6問)の解説をしたいと思います。
問題
数列 $\{x_n\}, \ \{y_n\}$ を次の式
(京都大学)
$x_1 = 0, \quad x_{n+1}=x_n+n+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_n}{3} \right)$($n=1,2,3,\cdots$)$, \\[0.5em]$
$y_{3m+1}=3m, \quad y_{3m+2}=3m+2,$$\quad$$y_{3m+3}=3m+4$($m=0,1,2,\cdots$)$\\[0.7em]$
により定める.このとき,数列 $\{x_n-y_n\}$ の一般項を求めよ.
解答
合同式については、$3$ を法とするものとする。
まず、$0$ 以上の整数 $m$ に対して
$$x_{3m+1} \equiv 0, \quad x_{3m+2} \equiv 0, \quad x_{3m+3} \equiv 1 \quad \cdots \text{①}$$が成り立つことを、数学的帰納法により示す。
(ⅰ) $m=0$ のとき
$$\begin{eqnarray}
x_1&=&0\equiv 0 \\
x_2&=&x_1+1+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_1}{3} \right) \\
&=& 0+1+2 =3\equiv 0 \\[0.5em]
x_3&=&x_2+2+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_2}{3} \right) \\
&=& 3+2+2 =7\equiv 1
\end{eqnarray}$$となり、①が成り立つ。
(ⅱ) $m=k$( $k$ は $0$ 以上の整数)のとき①が成り立つと仮定すると、$m=k+1$ のとき
$$\begin{eqnarray}
x_{3k+4}&=&x_{3k+3}+(3k+3)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3k+3}}{3} \right) \\
&\equiv& 1+(3k+3)-1 \equiv 0 \\
x_{3k+5}&=&x_{3k+4}+(3k+4)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3k+4}}{3} \right) \\
&\equiv& 0+(3k+4)+2 \equiv 0 \\
x_{3k+6}&=&x_{3k+5}+(3k+5)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3k+5}}{3} \right) \\
&\equiv& 0+(3k+5)+2 \equiv 1
\end{eqnarray}$$となり、①が成り立つ。
(ⅰ),(ⅱ)より、$0$ 以上の整数 $m$ に対して①が成り立つことが示された。
したがって、$0$ 以上の整数 $m$ に対して
$$\begin{eqnarray}
x_{3m+2}&=&x_{3m+1}+(3m+1)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3m+1}}{3} \right) \\
&=& x_{3m+1}+(3m+1)+2 = x_{3m+1}+3m+3\\[0.5em]
x_{3m+3}&=&x_{3m+2}+(3m+2)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3m+2}}{3} \right) \\
&=& x_{3m+2}+(3m+2)+2 = x_{3m+2}+3m+4\\[0.5em]
x_{3m+4}&=&x_{3m+3}+(3m+3)+2\cos \left( \dfrac{2\pi x_{3m+3}}{3} \right) \\
&=& x_{3m+3}+(3m+3)-1 = x_{3m+3}+3m+2
\end{eqnarray}$$が成り立ち、一方で数列 $\{ y_n \}$ の定義から
$$\begin{eqnarray}
&&y_{3m+2}=3m+2=y_{3m+1}+2\\[0.5em]
&&y_{3m+3}=3m+4=y_{3m+2}+2\\[0.5em]
&&y_{3m+4}=3m+3=y_{3m+3}-1
\end{eqnarray}$$が成り立つ。
よって、$0$ 以上の整数 $m$ に対して
$$\begin{eqnarray}
x_{3m+2}-y_{3m+2}&=&(x_{3m+1}+3m+3)-(y_{3m+1}+2) \\
&=&x_{3m+1}-y_{3m+1}+3m+1\\[0.5em]
x_{3m+3}-y_{3m+3}&=&(x_{3m+2}+3m+4)-(y_{3m+2}+2) \\
&=&x_{3m+2}-y_{3m+2}+3m+2\\[0.5em]
x_{3m+4}-y_{3m+4}&=&(x_{3m+3}+3m+2)-(y_{3m+3}-1) \\
&=&x_{3m+3}-y_{3m+3}+3m+3
\end{eqnarray}$$が成り立つので、$1$ 以上の整数 $n$ に対して
$$x_{n+1}-y_{n+1}=x_n-y_n+n$$が成り立つことが分かる。
$n \geqq 2$ のとき、数列 $\{x_n-y_n\}$ の一般項は
$$\begin{eqnarray}
x_n-y_n &=& x_1-y_1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} k \\
&=& 0-0+\dfrac{1}{2}(n-1)n \\
&=& \dfrac{1}{2}n(n-1) \quad \cdots \text{②}
\end{eqnarray}$$
$x_1-y_1=0$ より、②は $n=1$ のときも成り立つ。
したがって、$1$ 以上の整数 $n$ に対して、数列 $\{x_n-y_n\}$ の一般項は
$$\boldsymbol{\dfrac{1}{2}n(n-1)}$$
$$\boldsymbol{\dfrac{1}{2}n(n-1)}$$
解説
ある程度実験をすると、答え自体は推測できますが、式の上できっちりと理論立てて答えを導くのは容易ではないと思います。
見慣れない形の数列ということもあり、苦労した方も多いのではないでしょうか。
数列 $\{y_n\}$ は周期 $3$ できれいに式がまとまっているので、数列 $\{x_n\}$ をきれいな形に書き直すしか方法がありません。
そのため、序盤は、$\cos$ の部分を簡単にするための準備段階です。
ただ $\cos$ の部分を片付けたとしても、数列 $\{x_n\}$ は隣接 $2$ 項間漸化式の形となり、これ以上きれいにすることはできません。
そこで今度は、数列 $\{y_n\}$ を数列 $\{x_n\}$ に合わせるように隣接 $2$ 項間漸化式の形に変換してあげれば良いです。
数列 $\{x_n\}, \ \{y_n\}$ 単体で見ると複雑な動きをしますが、数列 $\{x_n-y_n\}$ とセットで考えると、シンプルな式になるのが面白いですね。
まとめ
今回は、京都大学理系数学(2022年 第6問)の解説をしました。
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