数学過去問解説

大阪大学 理系数学 2022年 第1問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、大阪大学理系数学(2022年 第1問)の解説をしたいと思います。

問題

 $r$ を正の実数とする.複素数平面上で,点 $z$ が点 $\dfrac{3}{2}$ を中心とする半径 $r$ の円周上を動くとき,$$z+w=zw$$を満たす点 $w$ が描く図形を求めよ.

(大阪大学)

解答

点 $z$ が点 $\dfrac{3}{2}$ を中心とする半径 $r$ の円周上を動くとき、
$$\left|z-\dfrac{3}{2}\right|=r \quad \cdots \text{①}$$となる。

また、$z+w=zw$ より $(w-1)z=w \quad \cdots \text{②}$ である。

$w=1$ は②を満たさないので、$w\ne 1$ である。よって②より
$$z=\dfrac{w}{w-1} \quad \cdots \text{③}$$

①に③を代入すると
$$\begin{eqnarray}
\left|\dfrac{w}{w-1}-\dfrac{3}{2}\right|&=&r \\
\left|\dfrac{-w+3}{2(w-1)}\right|&=&r \\
|w-3|&=&2r|w-1| \quad \cdots \text{④}
\end{eqnarray}$$

(ⅰ) $2r=1$ すなわち $r=\dfrac{1}{2}$ のとき
$\text{④}$ より
$$|w-3|=|w-1|$$となるから、点 $w$ が描く図形は $2$ 点 $1,3$ を結ぶ線分の垂直二等分線である。

(ⅱ) $2r\ne 1$ すなわち $r\ne \dfrac{1}{2}$ のとき
④の両辺を $2$ 乗すると
$$\begin{array}{c}
\begin{eqnarray}
|w-3|^2&=&4r^2|w-1|^2 \\
(w-3)(\overline{w}-3)&=&4r^2(w-1)(\overline{w}-1) \\
w\overline{w}-3(w+\overline{w})+9&=&4r^2\{w\overline{w}-(w+\overline{w})+1\} \end{eqnarray} \\[0.3em]
\left(4r^2-1\right)w\overline{w}-\left(4r^2-3\right)(w+\overline{w})+4r^2-9=0
\end{array}$$$r\ne \dfrac{1}{2}$ より $4r^2-1\ne 0$ であるから
$$\begin{eqnarray}
w\overline{w}-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}(w+\overline{w})+\dfrac{4r^2-9}{4r^2-1}&=&0 \\
\left(w-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right)\left(\overline{w}-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right)&=&\left(\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right)^2-\dfrac{4r^2-9}{4r^2-1}
\end{eqnarray}$$$$
\begin{eqnarray}
\left|w-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right|^2&=&\dfrac{\left(4r^2-3\right)^2-\left(4r^2-1\right)\left(4r^2-9\right)}{\left(4r^2-1\right)^2} \\
&=&\dfrac{16r^2}{\left(4r^2-1\right)^2}
\end{eqnarray}$$$r \gt 0$ より
$$\left|w-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right|=\dfrac{4r}{\left|4r^2-1\right|}$$したがって、点 $w$ が描く図形は点 $\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}$ を中心とする半径 $\dfrac{4r}{\left|4r^2-1\right|}$ の円である。

(ⅰ),(ⅱ)より、点 $w$ が描く図形は

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\boldsymbol{r=\dfrac{1}{2}} \mathbf{\text{ のとき:}2\text{ 点 }1,3\text{ を結ぶ線分の垂直二等分線}} \\
\boldsymbol{r\gt 0, \ r\ne\dfrac{1}{2}} \mathbf{\text{ のとき:点 }} \boldsymbol{\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}} \mathbf{\text{ を中心とする半径 }} \boldsymbol{\dfrac{4r}{\left|4r^2-1\right|}} \mathbf{\text{ の円}}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

答え

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\boldsymbol{r=\dfrac{1}{2}} \mathbf{\text{ のとき:}2\text{ 点 }1,3\text{ を結ぶ線分の垂直二等分線}} \\
\boldsymbol{r\gt 0, \ r\ne\dfrac{1}{2}} \mathbf{\text{ のとき:点 }} \boldsymbol{\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}} \mathbf{\text{ を中心とする半径 }} \boldsymbol{\dfrac{4r}{\left|4r^2-1\right|}} \mathbf{\text{ の円}}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

解説

複素数平面での軌跡の問題です。

類題も多いので計算ミスに注意しながら丁寧に解き進めたいところです。

まとめ

今回は、大阪大学理系数学(2022年 第1問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!