数学過去問解説

神戸大学 理系数学 2021年[後期] 第4問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、神戸大学理系数学(2021年後期 第4問)の解説をしたいと思います。

問題

$a$ を実数とする.$x$ の $2$ 次方程式 $x^2+(a+1)x+a^2-1=0$ について,以下の問に答えよ.

⑴ この $2$ 次方程式が異なる $2$ つの実数解をもつような $a$ の値の範囲を求めよ.

⑵ $a$ を⑴で求めた範囲で動かすとき,この $2$ 次方程式の実数解がとりうる値の範囲を求めよ.

(神戸大学)

解答

$x^2+(a+1)x+a^2-1=0\quad\cdots\text{①}$ の判別式を $D$ とすると、①が異なる $2$ つの実数解をもつとき $D\gt 0$ であるから
$$\begin{eqnarray}
D &=& (a+1)^2-4\left(a^2-1\right) \\
&=& -3a^2+2a+5 \\
&=& -(a+1)(3a-5)\gt 0
\end{eqnarray}$$$$\therefore\quad\boldsymbol{-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}}$$

答え

$$\boldsymbol{-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}}$$

①が実数解をもつとき、その実数解を $x=t$ とおくと
$$t^2+(a+1)t+a^2-1=0$$をみたす $a$ が $-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}$ に存在する。

すなわち、$a$ の $2$ 次方程式
$$a^2+ta+t^2+t-1=0\quad\cdots\text{②}$$が $-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}$ に解をもつ。

ここで、$f(a)=a^2+ta+t^2+t-1$ とおくと、②の実数解は $y=f(a)$ のグラフと $a$ 軸の共有点の $a$ 座標であるから、この共有点の $a$ 座標が $-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}$ に存在する条件を求める。

$$\begin{eqnarray}
f(-1) &=& 1-t+t^2+t-1 = t^2 \geqq 0 \\
f\left(\dfrac{5}{3}\right) &=& \dfrac{25}{9} + \dfrac{5}{3}t+t^2+t-1 = \left(t+\dfrac{4}{3}\right)^2 \geqq 0
\end{eqnarray}$$$2$ つの不等号が同時に等号となる $t$ は存在しないので、$f(-1)$ と $f\left(\dfrac{5}{3}\right)$ の少なくとも一方は $0$ より大きい。

$f(a)=\left(a+\dfrac{t}{2}\right)^2+\dfrac{3}{4}t^2+t-1$ より、求める条件は
$$\left\{
\begin{array}{l}
-1\lt -\dfrac{t}{2}\lt\dfrac{5}{3}\quad\cdots\text{③} \\
\dfrac{3}{4}t^2+t-1 \leqq 0 \quad\cdots\text{④}
\end{array}
\right.$$

③より
$$-\dfrac{10}{3}\lt t\lt 2\quad\cdots\text{⑤}$$

④より
$$\begin{eqnarray}
(t+2)(3t-2)\leqq 0 \\
\therefore\quad -2\leqq t \leqq \dfrac{2}{3} \quad\cdots\text{⑥}
\end{eqnarray}$$

⑤,⑥より、求める $x$ の範囲は
$$\boldsymbol{-2\leqq x \leqq \dfrac{2}{3}}$$

答え

$$\boldsymbol{-2\leqq x \leqq \dfrac{2}{3}}$$

解説

⑵のように、$x$ の $2$ 次方程式を $a$ の $2$ 次方程式に読み替えることを苦手とする人も多いのではないでしょうか。

「$a$ を動かしたとき実数解 $x$ はどう変化するか」を考えるのは難しいので、「実数解 $x$ がある値だとしたら、そのときの $a$ は $-1\lt a\lt\dfrac{5}{3}$ にあるか」という考え方をします。

こう考えることができれば、あとは解の配置問題(もしくは $2$ 次不等式)に帰着するので、このような考え方に慣れておきましょう。

まとめ

今回は、神戸大学理系数学(2021年後期 第4問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!