今回は、一橋大学数学(2021年 第2問)の解説をしたいと思います。
問題
実数 $x$ に対し,$x$ を超えない最大の整数を $[\,x\,]$ で表す。数列 $\{a_k\}$ を
(一橋大学)
$$a_k=2^{[\sqrt{k}\,]}\quad(k=1,\,2,\,3,\,\cdots)$$で定義する。正の整数 $n$ に対して
$$b_n=\displaystyle\sum_{k=1}^{n^2}a_k$$を求めよ。
解答
正の整数 $t$ に対して、$t^2\leqq k\leqq(t+1)^2-1$ を満たす $2t+1$ 個の整数 $k$ については
$$\begin{array}{c}
t\leqq\sqrt{k}\lt t+1 \\
\begin{align}
[\sqrt{k}\,] &= t \\[0.2em]
\therefore \ a_k &= 2^t
\end{align}\end{array}$$となる。
よって、$n=1$ のとき
$$b_1=a_1=2^{[\sqrt{1}\,]}=2 \quad\cdots\text{①}$$となり、$n\geqq2$ のとき
$$b_n=\displaystyle\sum_{t=1}^{n-1}(2t+1)\cdot2^t+2^n \quad\cdots\text{②}$$となる。
$S=\displaystyle\sum_{t=1}^{n-1}(2t+1)\cdot2^t$ とおくと
$$\begin{align}
S &= (2\cdot1+1)\cdot2^1+\displaystyle\sum_{t=2}^{n-1}(2t+1)\cdot2^t \\
&= 6+\displaystyle\sum_{t=1}^{n-2}(2t+3)\cdot2^{t+1}, \\[0.3em]
2S &= \displaystyle\sum_{t=1}^{n-1}(2t+1)\cdot2^{t+1} \\
&= \displaystyle\sum_{t=1}^{n-2}(2t+1)\cdot2^{t+1}+(2n-1)\cdot2^n
\end{align}$$となるので
$$\begin{align}
S-2S &= 6+\displaystyle\sum_{t=1}^{n-2}2\cdot2^{t+1}-(2n-1)\cdot2^n \\[0.2em]
-S &= 6+\dfrac{2^3(2^{n-2}-1)}{2-1}-(2n-1)\cdot2^n \\[0.3em]
\therefore \ S &= -6-2^{n+1}+8+(2n-1)\cdot2^n \\[0.2em]
&= (2n-3)\cdot2^n+2
\end{align}$$
よって、②より
$$\begin{align}
b_n &= S+2^n \\
&= (n-1)\cdot2^{n+1}+2\quad(n\geqq2)
\end{align}$$となる。
この式で $n=1$ とすると $b_1=2$ となり、①より $n=1$ のときも成り立つ。
以上より
$$b_n=\boldsymbol{(n-1)\cdot2^{n+1}+2}$$
$$\boldsymbol{(n-1)\cdot2^{n+1}+2}$$
解説
数列の和に関する問題です。
ガウス記号がからむ問題は理系でも苦手意識のある人が多いので、文系数学としては難問だと思います。
ですが、$k=1,\,2,\,3,\cdots$ として実験してみると、$a_k$ は $2$ のべき乗を項とする群数列になっていることが分かると思います。
$b_n$ の定義から、$a_k$ の値が変わるところまで足すことに注意しましょう。
なお、数列の和に関する問題のときは、小さい $n$ の値で検算することを強くオススメします。
まとめ
今回は、一橋大学数学(2021年 第2問)の解説をしました。
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