今回は、東京大学理系数学(2022年 第2問)の解説をしたいと思います。
問題
数列 を次のように定める。
⑴ 正の整数 が の倍数のとき, は の倍数となることを示せ。
⑵ を正の整数とする。 が の倍数となるための必要十分条件を を用いて表せ。
⑶ と の最大公約数を求めよ。
(東京大学)
解答
⑴
( は正の整数)のとき、 が の倍数となることを数学的帰納法により示す。
(ⅰ) ( のとき)
より、 は の倍数なので成り立つ。
(ⅱ) ( は正の整数)のとき成り立つ、すなわち
であると仮定すると、
より、 のときも成り立つ。
(ⅰ),(ⅱ)より、すべての正の整数 について成り立つので、 が の倍数のとき、 は の倍数となる。
⑵
を正の整数として、 を数学的帰納法により示す。
(ⅰ) のとき
より成り立つ。
(ⅱ) ( は正の整数)のとき成り立つ、すなわち
であると仮定すると、 のとき
より成り立つ。
(ⅰ),(ⅱ)より、すべての正の整数 について①が成り立つ。
よって、任意の正の整数 に対して①を繰り返し用いると
となるから、 が の倍数のとき、 は の倍数となる。
一方、 が の倍数でないとき、 を で割った余りを ( )とおくと、①を繰り返し用いることで
となる。ここで、漸化式より数列 は明らかに増加数列であるから、 ならば となり、 が の倍数になることはない。よって、 が の倍数でないとき、 は の倍数でない。
したがって、 が の倍数となるための必要十分条件は、 が の倍数である。
⑶
は の倍数( )なので、⑵より
よって
したがって
より、 と の最大公約数は と の最大公約数である。
ここで、 は の倍数なので、⑴より は の倍数である。
一方、
より、 を で割った余りは と循環するので、 が で割り切れることはない。
以上から、 は の倍数であるが の倍数でないので、 と の最大公約数は である。
解説
この問題は、「 を特定の値で割ると余りが循環する」という性質に気づくことが重要です。
イメージが湧きづらいという人は、具体的な例で考えてみましょう。
なので、 を で割った余りは と循環します。これは の計算の性質から直ちに分かります。
つまり、数列 の項の中で の倍数(= で割った余りが )であるものは第 項( は正の整数)に現れることが分かります。そしてそれ以外の項を で割った余りは 以上 未満(この例では )なので、 の倍数にはなりえないのです。これを厳密に書くと⑵の解答のようになります。
文字を使った抽象的な議論が苦手な人は、具体的な数字を代入してみて、その式が何を表現しようとしているのかイメージをつかむ練習を重ねてみましょう。
⑶は最大公約数に関する問題なので、「ユークリッドの互除法の原理」を使いましょう。
ユークリッドの互除法の原理
を でない整数とし、 整数 の最大公約数を と表す。
ならば
求める値が「 と の最大公約数」だと分かれば、今度は で考えるのがカギです。 を で割った余りが となって と同じ値になる(つまり余りが循環する)のがこの問題の上手いところです。
まとめ
今回は、東京大学理系数学(2022年 第2問)の解説をしました。
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!