今回は、京都大学理系数学(2023年 第3問)の解説をしたいと思います。
問題
$n$ を自然数とする.$1$ 個のさいころを $n$ 回投げ,出た目を順に $X_1, \ $$X_2, \ $$\cdots\cdots, \ $$X_n$ とし,$n$ 個の数の積 $X_1X_2\cdots\cdots X_n$ を $Y$ とする.
⑴ $Y$ が $5$ で割り切れる確率を求めよ.
⑵ $Y$ が $15$ で割り切れる確率を求めよ.
(京都大学)
解答
⑴
$Y$ が $5$ で割り切れる確率を求めよ.
$Y$ が $5$ で割り切れる事象を $A$ とし、その確率を $P(A)$ とする。
$A$ の余事象 $\overline{A}$ は、$Y$ が $5$ で割り切れない、すなわち出た目がすべて $5$ 以外($\,1,\,$$2,\,$$3,\,$$4,\,$$6\,$)であるという事象なので、求める確率は
$$\begin{eqnarray}
P(A) &=& 1-P(\overline{A}) \\[0.2em]
&=& \boldsymbol{1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^{\!n}}\,.
\end{eqnarray}$$
$$\boldsymbol{1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^{\!n}}$$
⑵
$Y$ が $15$ で割り切れる確率を求めよ.
$Y$ が $3$ で割り切れる事象を $B$ とし、その確率を $P(B)$ とする。
$B$ の余事象 $\overline{B}$ は、$Y$ が $3$ で割り切れない、すなわち出た目がすべて $3, \ $$6$ 以外($\,1,\,$$2,\,$$4,\,$$5\,$)であるという事象である。
また、事象 $\overline{A}\cap\overline{B}$ は、$Y$ が $3$ でも $5$ でも割り切れない、すなわち出た目がすべて $3, \ $$5, \ $$6$ 以外($\,1,\,$$2,\,$$4\,$)であるという事象である。
以上より、求める確率は
$$\begin{eqnarray}
P(A\cap B) &=& P(A)+P(B)-P(A\cup B) \\[0.2em]
&=& P(A)+\{1-P(\overline{B})\}-\{1-P(\overline{A\cup B})\} \\[0.2em]
&=& P(A)-P(\overline{B})+P(\overline{A}\cap\overline{B}) \\[0.2em]
&=& 1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^{\!n}-\left(\dfrac{4}{6}\right)^{\!n}+\left(\dfrac{3}{6}\right)^{\!n} \\[0.2em]
&=& \boldsymbol{1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^{\!n}-\left(\dfrac{2}{3}\right)^{\!n}+\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\!n}}\,.
\end{eqnarray}$$
$$\boldsymbol{1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^{\!n}-\left(\dfrac{2}{3}\right)^{\!n}+\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\!n}}$$
解説
さいころの出た目と確率に関する基本的な問題です。
「$\,n$ 回のうち少なくとも $1$ 回 $5$ の倍数が出る」などの状況を考えるときは、余事象を考えましょう。
⑵は $2$ つの余事象を同時に考えるため混乱しがちですが、ベン図やド・モルガンの法則を使って解けばシンプルに考えることができます。
まとめ
今回は、京都大学理系数学(2023年 第3問)の解説をしました。
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