数学過去問解説

一橋大学 数学 2021年[後期] 第2問 解説

ゆーきち
ゆーきち
こんにちは、ゆーきちです!

今回は、一橋大学数学(2021年後期 第2問)の解説をしたいと思います。

問題

 $a\gt0$ に対して,放物線 $C:y=\dfrac{1}{2}x^2-x$ 上の点 $\mathrm{A}\left(a,\,\dfrac{1}{2}a^2-a\right)$ における接線を,$\mathrm{A}$ を中心に時計回りに $45^\circ$ 回転した直線を $\ell$ とする。$C$ と $\ell$ で囲まれた部分の面積の最小値を求めよ。

(一橋大学)

解答

$y=\dfrac{1}{2}x^2-x$ より $y’=x-1$ なので、点 $\mathrm{A}$ における接線の傾きは $a-1$ である。

$$\tan\theta=a-1$$とおくと、$\ell$ の傾きは $\tan(\theta-45^\circ)$ と表せる。

加法定理により
$$\begin{align}
\tan(\theta-45^\circ) &= \dfrac{\tan\theta-\tan45^\circ}{1+\tan\theta\tan45^\circ} \\[0.2em]
&= \dfrac{(a-1)-1}{1+(a-1)\cdot1} \\[0.2em]
&= 1-\dfrac{2}{a}
\end{align}$$となるので、$\ell$ の方程式は
$$\begin{align}
y &= \left(1-\dfrac{2}{a}\right)(x-a)+\dfrac{1}{2}a^2-a \\[0.2em]
\therefore \ y &= \left(1-\dfrac{2}{a}\right)x+\dfrac{1}{2}(a-2)^2
\end{align}$$

$C$ と $\ell$ の式から $y$ を消去して、$2$ つのグラフの共有点の $x$ 座標を求めると
$$\begin{array}{c}
\dfrac{1}{2}x^2-x=\left(1-\dfrac{2}{a}\right)x+\dfrac{1}{2}(a-2)^2 \\[0.3em]
\begin{align}
0 &= \dfrac{1}{2}x^2+\left(\dfrac{2}{a}-2\right)x-\dfrac{1}{2}(a-2)^2 \\
&= \dfrac{1}{2a}\{ax^2+(4-4a)x-a(a-2)^2\} \\
&= \dfrac{1}{2a}[(x-a)\{ax+(a-2)^2\}] \\[0.3em]
\therefore \ x &= a,\,-\dfrac{(a-2)^2}{a}
\end{align}
\end{array}$$となる。

$$\alpha=-\dfrac{(a-2)^2}{a},\quad\beta=a$$とすると、題意の面積 $S$ は
$$\begin{align}
S &= \displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\left\{\left(1-\dfrac{2}{a}\right)x+\dfrac{1}{2}(a-2)^2-\left(\dfrac{1}{2}x^2-x\right)\right\} \\
&= \displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\left\{-\dfrac{1}{2}(x-\alpha)(x-\beta)\right\} \\
&= \dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{(\beta-\alpha)^3}{6} \\[0.3em]
\therefore \ S &= \dfrac{(\beta-\alpha)^3}{12} \quad\cdots\text{①}
\end{align}$$

ここで
$$\begin{align}
\beta-\alpha &= a+\dfrac{(a-2)^2}{a} \\
&= a+a-4+\dfrac{4}{a} \\
&= 2a+\dfrac{4}{a}-4
\end{align}$$であり、$a\gt0$ において $2a\gt0$,$\dfrac{4}{a}\gt0$ より、相加・相乗平均の大小関係を用いると
$$\begin{align}
\beta-\alpha &\geqq 2\sqrt{2a\cdot\dfrac{4}{a}}-4 \\
&=4\sqrt{2}-4
\end{align}$$となる。等号成立は $2a=\dfrac{4}{a}$ すなわち $a=\sqrt{2}$ のときである。

したがって、①より
$$\begin{align}
S &\geqq \dfrac{(4\sqrt{2}-4)^3}{12} \\
&= \dfrac{4^3\cdot(2\sqrt{2}-6+3\sqrt{2}-1)}{12} \\
&= \dfrac{80\sqrt{2}-112}{3}
\end{align}$$となるので、求める最小値は $\boldsymbol{\dfrac{80\sqrt{2}-112}{3}}$ である。

答え

$$\boldsymbol{\dfrac{80\sqrt{2}-112}{3}}$$

解説

直線の傾きと角度は $\tan$ で関係づけることができます。今回の問題ではさらに $45^\circ$ の回転を考えているので、加法定理が思いつくでしょう。

$C$ は放物線、$\ell$ は直線なので、その囲まれた部分の面積は $\dfrac{(\beta-\alpha)^3}{6}$ で計算できます。

最小を考える上では $\beta-\alpha$ のみに着目すればいいので、これに $a$ の式を代入すると、相加・相乗平均の関係式を使えることが分かります。

まとめ

今回は、一橋大学数学(2021年後期 第2問)の解説をしました。

ゆーきち
ゆーきち
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!