今回は、高校生クイズで出題された計算問題にチャレンジしてみます。
問題
直径10kmの隕石が衝突した時、発生する津波の高さは?
ただし、条件は以下のとおりとする。
- 隕石は球体、密度 $2000 \ [\mathrm{kg / m^3}]$ 、衝突の速度 $20.0 \ [\mathrm{km /s}]$
- 衝突時の運動エネルギーの $3\%$ が海水の位置エネルギーに変換
- 中心から半径 $400 \ [\mathrm{km}]$ の円心状に津波が発生
- 衝突地点の平均水深は $4 \ [\mathrm{km}]$ 、海水の平均密度は $1000 \ [\mathrm{kg / m^3}]$
- 重力加速度 $g = 9.80 \ [\mathrm{m / s^2}]$
- 有効数字 $3$ 桁
ヒント
- 力学的エネルギー保存則を使いましょう。
ただし条件より、運動エネルギーの3%だけが位置エネルギーに変換されることに注意が必要です。 - 質量=体積×密度です。
- 条件の文言から津波発生のイメージがつきますか?
円心状=円柱状と捉えた方が分かりやすいでしょう。平均水深は円柱の高さにあたります。
解答
隕石(直径 $10 \ [\mathrm{km}]$)の質量は
$$\underbrace{ \dfrac{4}{3} \pi \times 5000^3 }_{ \text{ 体積 } } \times \underbrace{ 2000 }_{ \text{ 密度 } } = 1.047 \times 10^{15} \ [\mathrm{kg}]$$
衝突直前の、隕石が持つ運動エネルギーは
$$\dfrac{1}{2} \times \underbrace{ 1.047 \times 10^{15} }_{ m } \times (\underbrace{ 20.0 \times 10^3 }_{ v })^2 = 2.094 \times 10^{23} \ [\mathrm{J}]$$
海水の位置エネルギーに変換されるのは、この $3\%$ なので
$$2.094 \times 10^{23} \times 0.03 = 6.282 \times 10^{21} \ [\mathrm{J}] \tag{1} $$
一方、求める津波の高さを $h \ [\mathrm{m}]$ とする。
条件より、津波発生時、「底面の半径が $400 \ [\mathrm{km}]$ で高さが $4 \ [\mathrm{km}]$ の円柱」の形をした海水が $h \ [\mathrm{m}]$ 持ち上げられると読み取れる。
つまり、海水が持つ位置エネルギーは
$$\underbrace{ \overbrace{ \pi \times (400 \times 10^3)^2 \times 4000 }^{ \text{体積} } \times \overbrace{ 1000 }^{ \text{密度} } }_{ M } \times \underbrace{ 9.80 }_{ g } \times h = 1.970 \times 10^{19} \times h \ [\mathrm{J}] \tag{2} $$
式(1)と式(2)の値は等しいので
$$\begin{eqnarray}
6.282 \times 10^{21} &=& 1.970 \times 10^{19} \times h \\[0.5em]
h &=& 318.8 \ [\mathrm{m}] \\
&=& \mathbf{319 \ [m]}
\end{eqnarray}$$
319m
まとめ
今回は、「高校生クイズ」で出題された、太陽の表面温度を求める計算問題にチャレンジしてみました。
結論は319m、、隕石の直径に比べると約3%と小さいですが、そもそものスケールが大きいので津波の大きさも規格外です。
- 統一した単位にそろえて計算する
- 条件の文言から、津波の発生イメージを的確に捉える