今回は、東京大学理系数学(2023年 第2問)の解説をしたいと思います。
問題
黒玉 $3$ 個,赤玉 $4$ 個,白玉 $5$ 個が入っている袋から玉を $1$ 個ずつ取り出し,取り出した玉を順に横一列に $12$ 個すべて並べる。ただし,袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする。
⑴ どの赤玉も隣り合わない確率 $p$ を求めよ。
⑵ どの赤玉も隣り合わないとき,どの黒玉も隣り合わない条件付き確率 $q$ を求めよ。
(東京大学)
解答
⑴
どの赤玉も隣り合わない確率 $p$ を求めよ。
同じ色の玉もすべて区別すると、$12$ 個の玉の並べ方の総数は $12!$ 通り。
どの赤玉も隣り合わないように並べるには、先に黒玉と白玉を並べておき、その両端または間に赤玉を入れればよい。
$${\vphantom{\text{○}}}_{\land}\text{○}_{\land}\text{●}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\text{●}_{\land}\text{○}_{\land}\text{●}_{\land}\text{○}_{\land}$$
黒玉と白玉の並べ方の総数は $(3+5)!=8!$ 通り。
「黒玉と白玉の両端または間」は $9$ か所あるので、その内の $4$ か所に赤玉を並べる並べ方の総数は ${}_9\mathrm{P}_4$ 通り。
以上より、求める確率は
$$\begin{eqnarray}
p &=& \dfrac{8!\times{}_9\mathrm{P}_4}{12!} \\[0.3em]
&=& \dfrac{9\cdot8\cdot7\cdot6}{12\cdot11\cdot10\cdot9} \\[0.3em]
&=& \boldsymbol{\dfrac{14}{55}}.
\end{eqnarray}$$
$$\boldsymbol{\dfrac{14}{55}}$$
⑵
どの赤玉も隣り合わないとき,どの黒玉も隣り合わない条件付き確率 $q$ を求めよ。
「どの赤玉も隣り合わず、かつ黒玉が隣り合う確率」を $r$ とおき、そのような玉の並べ方について考える。
同じ色の玉もすべて区別すると、$12$ 個の玉の並べ方の総数は $12!$ 通り。
どの赤玉も隣り合わず、かつ黒玉が隣り合うように並べるには、先に「黒玉 $2$ 個を $1$ つのセットとしたもの」と「黒玉 $1$ 個」と「白玉 $5$ 個」を並べておき、その両端または間に赤玉を入れればよい。
$${\vphantom{\text{○}}}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\,\boxed{\text{●●}}\,{\vphantom{\text{○}}}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\text{●}_{\land}$$
黒玉 $2$ 個のセットと黒玉 $1$ 個と白玉の並べ方の総数は $(1+1+5)!=7!$ 通り。
$3$ 個の黒玉のうち、$2$ 個のセットとして選んで並べる並べ方の総数は ${}_3\mathrm{P}_2$ 通り。
「黒玉 $2$ 個セットと黒玉 $1$ 個と白玉の両端または間」は $8$ か所あるので、その内の $4$ か所に赤玉を並べる並べ方の総数は ${}_8\mathrm{P}_4$ 通り。
ただし、このような玉の並べ方の中には「黒玉が $3$ 個隣り合う並べ方」が $2$ 回ずつ数えられているので、その並べ方の総数を引かなければならない。そこで、黒玉が $3$ 個隣り合う並べ方について考える。
$${\vphantom{\text{○}}}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\,\boxed{\text{●●●}}\,{\vphantom{\text{○}}}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}\text{○}_{\land}$$
黒玉 $3$ 個のセットと白玉の並べ方の総数は $(1+5)!=6!$ 通り。
黒玉の並べ方の総数は $3!$ 通り。
「黒玉 $3$ 個セットと白玉の両端または間」は $7$ か所あるので、その内の $4$ か所に赤玉を並べる並べ方の総数は ${}_7\mathrm{P}_4$ 通り。
したがって
$$\begin{eqnarray}
r &=& \dfrac{7!\times{}_3\mathrm{P}_2\times{}_8\mathrm{P}_4-6!\times3!\times{}_7\mathrm{P}_4}{12!} \\[0.3em]
&=& \dfrac{6!\cdot3\cdot2\cdot7\cdot6\cdot5\cdot(7\cdot8-4)}{12!} \\[0.3em]
&=& \dfrac{3\cdot2\cdot7\cdot6\cdot5\cdot52}{12\cdot11\cdot10\cdot9\cdot8\cdot7} \\[0.3em]
&=& \dfrac{13}{132}.
\end{eqnarray}$$
以上より、求める確率は
$$\begin{eqnarray}
q &=& \dfrac{p-r}{p}=1-\dfrac{r}{p} \\[0.3em]
&=& 1-\dfrac{13}{132}\cdot\dfrac{55}{14} \\[0.3em]
&=& 1-\dfrac{65}{168} \\[0.3em]
&=& \boldsymbol{\dfrac{103}{168}}.
\end{eqnarray}$$
$$\boldsymbol{\dfrac{103}{168}}$$
解説
玉を並べる問題は、どの色を先に並べてどの色を後から入れるか、複数の玉を $1$ つのカタマリとして考えるべきか、重複して数えていないか、数えていない並べ方はないか、に注意する必要があります。
⑴は基本的な問題ですが、⑵は柔軟な発想が必要な問題です。
条件付き確率の分母は⑴で求めたものがそのまま使えます。問題は分子ですが、赤玉も黒玉も隣り合わない並べ方をいきなり数え上げるのは厳しいです。そこで、「赤玉は隣り合わないが黒玉は隣り合う確率」が分かれば、それを $p$ から引くことで分子が求められます。
黒玉が隣り合う並べ方を考えたいので、黒玉 $2$ 個を $1$ つのカタマリとして(隣り合うことを確定させて)考えます。なお、カタマリとして見ていた黒玉のセットの中での並べ方も考慮する必要があります(解答中の ${}_3\mathrm{P}_2$ や $3!$ のことです)。
ただし、解答にもあるように、このままでは黒玉 $3$ 個が隣り合う並べ方をダブって数えてしまうことになるので、その分だけ差し引く必要があります。
まとめ
今回は、東京大学理系数学(2023年 第2問)の解説をしました。
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