今回は、高校生クイズで出題された計算問題にチャレンジしてみます。
問題
アインシュタインの公式 $E = mc^2$ を用いて、太陽はあと何年で燃え尽きるか計算しなさい。
ただし、条件は以下のとおりとする。
- 太陽が $1$ 秒間に放出するエネルギーを $4 \times 10^{26} \ [\mathrm{J}]$ とする
- 燃料となる水素は太陽の全質量( $2 \times 10^{30} \ [\mathrm{kg}]$ )の $10\%$ で、さらにその $0.7\%$ だけの質量がエネルギーに変換されるとする
- 現在太陽が誕生してから $46$ 億年とする
- 有効数字 $2$ 桁で答えなさい
ヒント
- アインシュタインの公式は、質量とエネルギーが等価であることを表しています。つまり、エネルギーを放出した分だけ質量が減り、その関係を表すのが $E = mc^2$ というわけです。
- 公式中の $c$ は光速を表し、その値は秒速30万kmです。
- 「あと何年で燃え尽きるか」を問われていることに注意しましょう。
解答
エネルギーに変換される水素の質量は、太陽の質量の $10\%$ のさらに $0.7\%$ なので
$$2 \times 10^{30} \times 0.1 \times 0.007 = 1.4 \times 10^{27} \ [\mathrm{kg}]$$
光速は秒速 $30$ 万 $\mathrm{km}$ 、すなわち $3 \times 10^8 \ [\mathrm{m/s}]$ なので、太陽が放出する全エネルギーはアインシュタインの公式を用いて
$$1.4 \times 10^{27} \times ( 3 \times 10^8 )^2 = 1.26 \times 10^{44} \ [\mathrm{J}]$$
太陽は $1$ 秒間に $4 \times 10^{26} \ [\mathrm{J}]$ のエネルギーを放出するので、太陽が誕生してから燃え尽きるまでの時間は
$$\dfrac{1.26 \times 10^{44}}{4 \times 10^{26}} = 3.15 \times 10^{17} \ [\mathrm{s}]$$
$1$ 年は $365 \times 24 \times 60 \times 60 = 3.15 \times 10^7 $ 秒なので、
$$\dfrac{3.15 \times 10^{17}}{3.15 \times 10^{7}} = 10^{10} \ [\text{年}]$$
より、太陽の寿命は $100$ 億年であるとわかる。
現在太陽が誕生してから $46$ 億年が経過しているため、「あと何年で燃え尽きるか」という問いに対する答えは
$$100-46 = \mathbf{54} \ [\mathbf{\text{億年}}]$$
54億年
まとめ
今回は、「高校生クイズ」で出題された、太陽の余命を求める計算問題にチャレンジしてみました。
結論は54億年、、太陽が燃え尽きるなんて想像もつきませんね。どんな感じなのでしょうか。
- アインシュタインの公式の意味を捉えて質量をエネルギーに換算する
- 求めた寿命から現在の年齢を引くことで余命を求める