今回は、正100角形の対角線が何本か計算で求める方法を紹介したいと思います。
記事後半では、一般化(正 $n$ 角形)にもチャレンジしているので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは正10角形
いきなり正100角形の対角線を引いて数えるのは無謀なので、辺の数を少なくした正10角形で試してみて、正100角形への手がかりを探っていくことにしましょう。
作図してみよう
正10角形はこんな形です。各頂点に1~10と番号をふってみました。
では対角線を引いていきます。
どのように引いても全体の本数は変わりませんが、規則性をつかむために、まずは頂点1から引ける対角線をすべて引いてみましょう。
するとこのように、頂点3~9に向けて7本の対角線が引けます。
では次に、頂点2から引ける対角線をすべて引いてみましょう。
するとこのように、頂点4~10に向けて7本の対角線が引けます。
そして同じように頂点3からも引いていきます。
が、ここであることに気がつきます。
そうなんです。そうなんですが、ここはあえて同じところをもう一度引きます。ただし、2回目に引くところ(ここでは1-3間)は青線にして区別します。
するとこのように、頂点1、5~10に向けて7本の対角線(赤6本+青1本)が引けます。
だいぶごちゃごちゃしてきました…。(笑)
この作業を頂点4、5、……と繰り返し、頂点9から引ける対角線を引ききった時点の図がこれです。
ほとんど真っ青になりました(笑)
赤線は黒線に戻していますが、青線は青線のままにしています。
最後に頂点10から引きますが、すでに頂点2~8から引かれた黒線ばかりですので、7本とも青線で引きます。
先ほどの図でほとんど完成でしたが、これにて本当に完成です!
規則性は?
正10角形の対角線をすべて引いてみましたが、結局何本引いたのでしょうか?
実際に数えてみるとわかりますが、全部で35本あります。
ではこの35本、どうにか計算で求められないでしょうか?
――実は求められるんです!
計算で求められるということは何か規則性があるに違いない、、そう感じたあなたは勘が鋭い!
ではその規則性とは何か?この記事のキモはここにあります。
自分で考えたい人は下を読む前に考えてみましょう。
それでは種明かしです。
正10角形の対角線に関する規則性とは、次の2つです。
- 線の色は違えど、どの頂点からも7本の対角線を引いた
- 頂点10からの対角線を引き終わると、すべての対角線が青線だった
まず①の「7本」はどこから出てきたのでしょうか?
これは、全10頂点から「対角線を引き始める頂点」と「その両隣の頂点」を引いた数です。
例えば頂点2から対角線を引く場合、自分自身(頂点2)に対角線は引けません。
また、両隣(頂点1、3)にも引けません(すでにそこには図形の辺がありますからね)。
つまり、7=10-3ということなのです。
では②は具体的には何を意味しているのでしょうか?
これは、どの対角線もちょうど2回引かれたということです。
例えば「1-3間の青線」は「頂点1から3へ向けて引いた線」と「頂点3から1へ向けて引いた線」で2回引かれています。
他の対角線についても同様です。
これら①②を組み合わせると、35本という数字を導くことができます。やってみましょう。
- 頂点1からは7本(=10-3)の対角線が引ける。頂点2~10からも同様に、それぞれ7本の対角線が引ける。
つまり重複を許せば、のべ70本(=7×10)の対角線が引ける。 - それぞれの対角線は2重で引かれているので、実際の対角線の本数はその半分である。
つまり、70÷2=35本。
これが対角線の本数に関する規則性だったのです!
いよいよ正100角形!
それではいよいよ本題、正100角形の対角線の本数を数えていきましょう!
といっても考え方や計算方法は先ほどと同じですので、「数える」というよりは「求める」の方がしっくりきますかね(笑)
- 頂点1からは97本(=100-3)の対角線が引ける。頂点2~100からも同様に、それぞれ97本の対角線が引ける。
つまり重複を許せば、のべ9700本(=97×100)の対角線が引ける。 - それぞれの対角線は2重で引かれているので、実際の対角線の本数はその半分である。
つまり、9700÷2=4850本。
ということで今回のテーマ「正100角形の対角線は何本?」の答えは4,850本でした!
正10角形で35本でしたので、元の図形の辺の数の増え方(10→100)に比べて、対角線の本数の増え方(35→4850)はかなり急激ですね。
ちなみに、正100角形の対角線をすべて引くと、こんな感じになります。
…とお見せしたかったのですが、何しろ線が多すぎて、つぶれてしまいました。
黒丸でもプラネタリウムでもありませんよ(笑)
拡大してみると、緻密な模様ができているのが分かるかと思います。
一般化してみよう
ここまで来たからには、一般の場合、つまり正 $\boldsymbol{n}$ 角形の対角線の本数を求めてみましょう!
正10角形・正100角形のときと同様に進めていくだけです。
- 頂点1からは $n-3$ (本)の対角線が引ける。頂点2~$n$からも同様に、それぞれ $n-3$ (本)の対角線が引ける。
つまり重複を許せば、のべ $n(n-3)$ (本)の対角線が引ける。 - それぞれの対角線は2重で引かれているので、実際の対角線の本数はその半分である。
つまり、$n(n-3) \div 2=\displaystyle \frac{n(n-3)}{2}$ (本)。
これで一般化もばっちりです!見やすいようにまとめておきましょう。
正 $n$ 角形の対角線の本数は $\displaystyle \frac{n(n-3)}{2}$ (本)である。(ただし $n \geq 3$)
まとめ
今回は、正100角形の対角線の本数を規則性に着目して求めてみました。
結果は4,850本……手描きじゃ絶対ムリですね。パソコンの時代に生まれて良かった(笑)
また、一般化を行うと、対角線の本数は辺の数の2乗のオーダーであることがわかりました。
正10角形から正100角形にしたときに対角線の本数が急増していたのは、式の上でも確かなことだったんですね。
一見突拍子もない問題でも、規則性に気づけば糸がほぐれるように解決できるというケースが数学にはよくあります。
いい意味で面倒くさがり屋さんになって、効率よく正解の道を探ることが大切ですね。
100C2 – 100ではないですか?
すなわち
100*99/2 -100
=4950-100=4850
数学好きのガキ 様:
「頂点100個の中から2個選び、元の辺100本を引く」という考え方ですね!
もちろんその方法でも合ってますよ。なんならそちらの方がスマートかもしれません。
エレガントな解法、ありがとうございます!